ひとことか、ふたこと。 待ちきれないことばのかたちを、ぼくはまだ知らないまま きみに届くべき思いのかけらさえ、拾えないまま ぐるぐる椅子を回して、くらくら目を回して、ふらふら生きている。 日が暮れて、窓を開いて、口を閉じて、瞼 瞬いて。 齧られた林檎、傷ついたガラス、この目には見えない世界、 鍵束の揺れる音で目を覚ましたら、おやすみ。