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-季節 21-

「黒いよなー、女って。かわいい顔して内心何思っとるか、想像するだけで怖いわ」
彩生さんが苦笑いしながら言った。
そしてこうも言った。
「巳汐はそれが見えてまうんよね。大変だよなー」
確かに……
だからこそ嫌いなのかもしれない。
(人の黒い部分が見えてしまうのか……)
“特殊な能力”って、いいことばかりではないのだなと思った。

「白帆さんは心が綺麗だ。だから、心を許せたのかも」
“心が綺麗”か…
初めて言われた。すごく嬉しい。
「純粋ですよね、白帆さん。変に暗い部分がないから、話してて楽です」
夏川くんもそう言った。

「………ってことだよ。要するに、未来は見えても何も出来ひんから、いいことはないよ」
彩生さんは“未来が見える”能力を持っている。
でも見えても変えることはそうそう出来ないらしい。
例えば前を歩いていた人がもうすぐ死ぬという未来が見えても救うことは出来ない。それが辛い。ということだ。
“特殊な能力”を持っていいことがあったとしても、いいことばかりではないということだ。
桜尾さんとはその悩みも共通していたのですぐに仲良くなれたらしい。
(でも桜尾さんは彩生さんのテンションについていけず大変だったとか)
だから彩生さんが入ってきたとき、迷惑そうな顔をしたのか。
「そういうことだね」
桜尾さんが私と目を合わせて言ってきた。
「確かにいい奴だけど、付き合いにくいというか。いちいちテンションが高いから面倒くさいんだよね。いじめの原因はリュウの能力のせいもあるけど、その性格のせいもあると思うよ」
ズバッと言った。
彩生さんが苦い顔をした。
「ひどいなぁ。ま、確かにそうなんやろうけど」
二人が静かに笑いあった。


  • 彩生 木芽 桜尾 巳汐
  • 白帆 唯 夏川 阿栗
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