今日から高校生。
嬉しいはずの入学式。
でも僕、枝斎 洋汰は浮かない顔だ。
昨日父に言われた言葉が頭から離れなかったから。
「わ……あの人、ピアスしてる」
「入学早々、校則違反かよ」
そんな悪口も一切耳に入らないぐらいに呆然としていた。
_____「……どういうことだよ…普通の人間じゃないって?」
昨日の父との会話だ。
このピアスについて父に思いきって聞いてみた。
そうしたら予想もしていなかった言葉が返ってきた。
“お前は普通の人間じゃないんだ”
「お前だけじゃない。俺もだ」
父は落ち着いて話し出した。
「俺は…俺は吸血鬼なんだ。だからお前は吸血鬼の血が入ってる。母さんは人間だから、お前は混血なんだよ」
“吸血鬼”?
“混血”…?
「そのピアスはお前の中に眠ってる吸血鬼の本能を抑えるためのものだ。だから決して外すなと言ったんだ」____________
(吸血鬼ってなんなんだよ。そんなの空想の中の生き物だと思ってたのに……)
訳がわからない。
なんだよ、吸血鬼と人間の混血って。
「ああぁ…もう!」
つい、声に出して叫んでしまった。
周りの人が恐がっているような顔をした。
あぁ、入学早々恐がられちゃったよ…。
(父さんのせいだ!)
「はぁ……」
大きなため息を一つ。
(しょうがない。また一人で三年過ごすか…)
そう思っている僕を睨んでる奴がいることはあえて気付かないふりをしよう……