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オカルト2

 はて、何をしに外に出たのだったか。そうだ。綿棒を買うためだった。鼻の奥にできものがあり、それに薬を塗るために綿棒が必要なのだ。スーパーに行くつもりがぼんやりしていて、通り過ぎてしまった。年のせいなのか定年で退職してからのん気に過ごしているせいなのか両方なのか。いや、わたしは昔からこうだったな。引き返すと、また易者だ。ブームなのだろうか。見ればわたしよりだいぶ年がいっている。
「ちょっとあなた」
「はい?」
 いつもなら無視するところだがぼんやりのせいで反応してしまった。そういえば脳がデフォルト状態のときは社会脳になっていると何かで読んだな。
「あんたね……」
「もうすぐ迎えが来ますか?」
 おどけた感じで言ってみた。少し、間があった。
「あんたもう死んでるよ」
 死後の世界を信じるのは楽観的だと思わないか、とスタンリー・キューブリックは言ったそうだ。死後の世界がある。霊はいる。と考えたほうが生きるのは楽だろう。占いも、信じられる人間のほうが幸せだ。
 生まれ変わったら、もっと素直に生きよう、と思う。

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