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無題

はろう ミスター ご機嫌如何。
今年も贈り物をありがとう。
ところで今年の逢瀬の夜も
生憎の御天気になりそうですね。
身の裂かれる思いですけれど
荒ぶる川に貴方を奪われるなんて
そんなことは耐えられませんから、
どうぞ無理をなさらないで。
私はもう1年、
大人しく身を焦がしていようと存じます。

対岸より愛を込めて。


はろう ミセス ご機嫌如何。
今年も贈り物をありがとう。
次第に荒れてゆく空模様に私がどんなに
心を乱されたか、表す言葉が見付かりません。
折角の逢瀬の日です。
どんな蛇神だって斬り伏せる自信があるけれど
貴女の優しい思い遣りを
無碍にするのは躊躇われます。
せめて当日は仕立てて貰った着物を羽織って
貴女との日々へ思いを馳せましょう。

どんな時も滅せない愛を込めて。


はろう ミスター 粗末な嘘ね。
姦しい牛の鳴き声 切り裂くような
歓喜の叫びを ありがとう。


はろう ミセス 騙されないよ。
君の漏らした安堵の吐息が
庭の葦を震わせている。

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