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七月時雨 #6

ユーリは記憶の奔流に呑まれそうになるのを感じながらヴァレットに向かって叫びました
「僕は何も犯してない!!!君は、いや、君こそ……」
ヴァレットはほんの少し、顔を歪めました
そして
「そうか」
ぽつりと
ヴァレットの呟きは意外なほど響きわたって、ユーリの叫びを掻き消したのでした
「じゃあ、今もか?」
その問いは、全てを酌んだ問いだったのです

ユーリは絡み合い濁流と化していた記憶が、一筋の糸になったかのように―
全てを、わかったのです
ヴァレットは、3年もの間消息を絶っていました
その原因も、
彼が変わらぬ姿でここにいるわけも、
自分が失っていた何かさえ……わかってしまったのでした

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