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七月時雨 #7

しかし、ユーリはひとつだけ、気づくことができなかったのです―


ヴァレットが姿を消したのは、3年前のことでした
当時、ヴァレットは、町で一番の悪童だったのでした
そうしてその日も悪事を働いて―

―そして、その瞬間を、ユーリは見てしまったのでした

ユーリはその頃純粋でした
ヴァレットがどんなに悪く噂されたとしても、それらの噂は全て嘘なのだと、信じていたのです
なぜなら、ユーリにとって、ヴァレットは親友だったから
その一言に尽きるのでした

それを、壊してしまった一瞬
視線が交錯した直後、ユーリはくるりと背を向けて、全速力で走り去りました
ヴァレットも、その背を追って走りました
ヴァレットにとっては逃亡は日常茶飯事だったので、勝負は初めから、見えていました
「ユーリ!!!」

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