刹那、ユーリの視界で、上下が反転しました
「……っ!!」
一瞬の衝撃に意識が飛ぶかと思いつつ、少年は恐る恐る目を開けました
呼吸が掛かる、至近距離のヴァレットの顔
あまりに近いその顔は焦点が合わず、どこか夢のようだったのでした
「本当に、信じてたんだろ?」
少年は、脳が灼熱するのを感じました
そのまま、焼き切れてしまうのではないかと思うほどの灼熱です
それが再び恐怖と驚愕を呼び戻し、ユーリの眼はこぼれんばかりに見開かれていました
「信じてた…………、信じてたんだよ、ヴァレット……」
知らず、涙が伝いました
しゃくりあげるユーリを一瞥し、ヴァレットは小さくため息を吐きました
歯の根が合わない少年は、そして―
―ヴァレットを、激しく拒絶したのでした
「そうだ、信じてた!!! 嘘だと言ってくれよ!なら離れてくれよ!君がそんな人だと思ってなかったんだ本当に!!!」
細く息を吸って
「なぁ、嘘なんだろう?!!」