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席替え

 欠席した日に席替えがあったみたいでわたしは大山椒魚の隣になっていた。窓際の左側の席がわたし、右側が大山椒魚。
 大山椒魚は無口だけど頭がよかった。一年生のときから知ってたけど何となくずっとばかだと思っていた。でも違くてテストは全教科百点だった。
 終業式の日、思い切って、隣に首を伸ばし、「とーだい、ねらってんの?」ときいてみた。大山椒魚は、わたしをちらっと見てから目をそらし、無言でうなずいた。身体から、透明な液体が出ていた。いい匂いだった。わたしは大山椒魚の背中に手を置いた。ぬるぬるしてるけど嫌じゃなかった。背中をなでた。さらにぬるぬるしてきた。気持ちよかった。 
 わたしは夢中で身体じゅうをなでまわしていた。いい匂いに包まれて、頭がぼおっとなった。いつの間にか、わたしたち以外誰もいなくなっていた。わたしは大山椒魚の背中に抱きついて顔をうずめた。陽が傾くまで、そうしていた。

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