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…もう潔く負けを認めます

「…んも、だからさぁ!」これじゃ半ば八つ当たりだ。からみ酒だ。でも今じゃなきゃ言えないと思ったし、今なら酔った勢いだと聞き流してくれると思った。
「あたしがそうしたかっただけなの! この人なら好きになれるかなぁって、付き合ってみて、寂しさとか性欲とか満たしあってさぁ! でもこの人のためにあんたと飲むのやめようって思えなかったの! この人に時間拘束されるくらいならあんたと飲みたいって思ったの! あんたといるのが一番落ち着くんだからしょうがないでしょう!」「…あのねえ先輩」なによ、と強がる声は震えた。小さく息を吐く音が聞こえる。
「素面じゃないから何言ってもいいと思ってない? 僕が聞き流せるとでも思った?」完全に敬語が外れてるのを初めて聞いて___いや今そんな場合じゃないんだけど罪悪感めいたナニカをガツンと蹴飛ばして、胸がどくん、とときめいた。
「酔った勢いだからって聞き流してあげない」
そんな可愛い台詞、と辛うじて聞き取れた。え、と驚く間もなく形成逆転のように畳み掛けられる。「誰にでも優しくできるほど聖人じゃないよ。誰とでも飲むほど暇じゃないよ。他の誰にも可愛いなんて言わないよ。こっちは結構頑張ってるのにさらっと流されたりしてさ、」どんだけヘコんだかわかる? と睨まれて、縮こまる。___待ってそれはどうゆうことなの。
ちっと舌を打ったところを見ると、彼も相当酔っている。
「僕は先輩が好きですよ。高1の時から先輩がずっと好きですよ。電話してくれるのも甘えた声聞けるのも嬉しかったんですよ。
だからもういい加減僕のところに来てくださいよ。これだけ待ったんだから僕のものになってくださいよ。先輩だって僕のこと好きなの知ってるんですよ。あんな可愛いこと言っておいて違うなんて言わせませんよ」

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