豚の貯金箱をくだいて
お気に入りの帽子をかぶって
もちろんハモニカも忘れずに
だれもいない午後の列車にとびのった
ズボンもゆるゆるで
田んぼの中に鉄塔がぼおんぼおんと立っていて
ドアがあいてまた閉まって
新しい風や人がはいってまたでて
僕の影も君の影もない町は良い
心の向くままふっらふうらと
帰りの窓はなんとなく青く
ゆりかごのような揺れの先に
あの街と明日がある
まっ、君に会えるしそれもいいか
お名前の所為か、宮澤賢治さんの童話のような不思議で懐かしいことば(とは云っても、ご本家はほとんど読んだことはないのですが)を読むのをいつも楽しみにしています。
小さな逃避行か旅立ちか、とにかく電車の旅って素敵ですよね。
"君に会える"楽しみと、名も知らない駅を越えていく不安なのか期待なのか、いろんな気持ちが交錯する感じが見事に表現されている素敵な詩です。
シャア専用ボールさん
ありがとうございます!シャアさんの様にいくつも言葉に触れてきた方にそう言われてとても嬉しいです。宮沢賢治さんはとても独特で素敵です。
電車の信号機同士の恋なんかを書いたものもありますから(笑)。