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手紙

拝啓 お元気ですか。
夏休みが終われば、また毎日
顔を合わせることになるのだけれど。
ふと思い立ったから、
貴方に手紙を書いてみることにします。

あの日からもうどれだけ経ったでしょうか。
そんなに経っていないかしらね。

それでもまだ貴方が好きって言ったら、
貴方はどんな顔をするのでしょう。

幸せになった貴方に
あの時過去形で思いを伝えた私は、
自分の付いたウソに苦しめられているのです。

やっぱり、あの気持ちは、
過去形などではなかったのね。

わかってるわ。私には、それを
貴方に伝える権利がないことくらい。

だから、私は選んだの。
貴方の一番近くにいる生徒であることを。

卒業するまでは、それが私たちの
一番正しい距離感なのです。きっと。

卒業してからのことは、
私には想像がつかないのですけれど。

あら、私ったら、貴方に宛てた手紙に、
貴方に言えないことを書いて
どうするつもりなのかしら。
そうね、この際、全てを話してしまいましょう。

私のウソを微笑って受け止めてくれた貴方に、
その後も変わらず私を可愛がってくれる貴方に、
私はこれからも、想いを抱き続けます。

貴方を心から慕う生徒より

  • イメージとしては、明治時代の大和撫子。
  • 実話ではありますが、
  • もちろん普段からこんな口調ではありません!
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