暗闇の着物と追いかけっこ 満月と仲良く斬り結ぶ失態 夜ごと咲くそれが椿みたいねと 綺麗だねと きみは笑う 赤が好きだと言っていたきみの 白い十字架を見ていた 黒が好きだと言っていたきみの 白い装束を見ていた できない約束を交わした口に にこりと三日月を刻みながら 代わりのいる変わらないこの遊郭で 鮮血の染みた喪服をまとう かたちにするから壊れるのよ それはまるで異国の言葉のように ぼくの耳を艶めかしくかすめた 新月だけがそれを見ていた