「喉がかわいた。」
君が喉を潤したいとき、決まって僕の目から涙が引っ張り出される。
僕の中途半端に焼けた頬を伝った涙は、頬から離れた瞬間にふわっと消えてしまう。きっと、君を潤してるんだと思ってるんだけど。
「ねえ、喉がかわいたー。かわいたかわいたかわいたの、からっからなの。」
今日は珍しく頻繁に駄々をこねた。暑いからかな、なんて僕はされるがままに目から水分を引っ張り出したよ。
足りない。
足りない。
たりないよ。
もっと。
もっと。
まだまだ…
足りなくてごめんね。
ぱたりと途絶えてしまった君の傍に横たわって思う。僕も、途絶えた。