なんだか久しぶりに飛んできた蚊の羽音がして 舌を噛んだ血の味がいつまでも口を浸してる 台所に水を呑みに行く途中、畳んでおいた段ボール箱の上を踏んで歩いた。 瞼の厚みもよくわからない夜半、束の間の現(うつつ)は豆電球の色、そっと鳴いてるコオロギが少しだけ近くに思えた。