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ドアを開けると4

 夜が明けきらぬうちに目を覚まし、茶の間に行くと、あの人形が座っている。夢ではなかったようである。人形がこちらを見て微笑む。
「おはようございます」
「うむ。おはよう」
「よく眠れましたか」
「あまりよく眠れなかった。君が起きていると思うとね」
「気になりますか」
「気になる」
「あはは。今日はお仕事ですか」
「わたしは仕事はしていない」
「あらあら。どうやって食べているのですか」
「親の遺産で暮らしている」
「いいご身分ですね」
「まあそうだな」
「君は」
「はい」
「わたしと結婚したいのかね」
「あなたは」
「してもよい。人形と結婚するのが最近ブームらしいしな」
「では、しますか」
 余と人形は式を挙げた。神前で。なんだこの話はなどと言われても困る。人形がただの人形に戻り、主人公が少し大人になるとか、実はこの人形は主人公の記憶にないだけで神社から主人公が持ち去ったもので言葉を話すのは主人公の妄想で、最終的にごみ屋敷と化した日本家屋またはドヤ街で人形を抱いて亡くなっているのを発見されるみたいな陳腐な話よりずっといいじゃないかじゃあまたね。

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