笑わない君が嫌いじゃなかった。
たまの休みに僕のうちのベルを鳴らす。
開ければいつもの能面ヅラ
今日はどこに行こうか?
「前に話したあの喫茶店にでも行かない?」
そう提案すると
「憶えててくれたの?」と驚いた表情の後に
笑顔を零してくれた。
それが珍しくて嬉しくて、僕はつい
こんな嘘を吐いてしまった。
「そういえばこの間、臨時収入が入ったんだ
だから今日は僕が奢ってあげる」
サイフの中を確認。ATMを経由し喫茶店に到着。
好きなものを頼んでよ。と言いつつ即座に自分用の1番安いコーヒーを注文。君は目を輝かせて
カフェモカとマカロンのセットをお願いします。
会計を済ませて喫茶店を後にする。
君はまだ笑顔を絶やすことなく、脚取りも軽い。
笑わない君が嫌いじゃなかった。
その気持ちは嘘じゃない、けど
笑って欲しくないわけでもないんだよね。