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時の差

小さい頃過ごした街。
5年ぶりに戻ってみると景色がガラリと変わっていた。


毎日遊んでいた公園はどこも草ぼうぼう。

人がいなくなり薄暗く活気がない。

毎日母と買物に行ったスーパーは空き地になっている。

地下鉄も最終駅が延びてよく使っていたバス停はなかった。


久しぶりに会った友達に言う。
「え…。すごく街並み変わったね。」
「え、そう?初めから、こんなんだったよ?」

たまたま会った友達に声をかける。
「久しぶり!」
「?」
「え、覚えてない?ーーだよ?」
「ああ!久しぶり!こっちに来てたんだね!」


私が知っているこの街の景色は、もう私の心の中にしかない。

私が仲よかった友達は、名前を伝えてからではないと会話が成り立たない。


久しぶりの地下鉄に乗って思いふけていると、ふと幼い自分が座席に座っているように見えた。
笑顔で足をバタつかせている。
思わず涙がこぼれる。

「ねえ、今楽しんでね。このあと沢山辛いことがあるから。」

それでもケロりと笑顔でいる幼い自分と目があったような気がする。
思わず頬をゆるめる。

「ありがとう。君がこんな風にいてくれるから、新しい場所でも楽しく過ごせているよ。」


私が過ごした足跡はないけれど
幼い自分がこんなに笑顔で今を過ごしているなら
変わった街も悪くはないかも。

暗い電車の窓ガラスには今の自分の笑顔が映っていた。

  • 今年の夏の話。
  • 幼い自分は幻覚だろうけどなんか嬉しかった。
  • 長文失礼しました。
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