高校を卒業した後、大学入学前のこと。友人宅で泊まり込みではしゃいで、寝て起きて、友人の母に作ってもらったご飯を食べながらTVを見ているとありえない光景が広がっていた。衝撃的で、それを見たシチュエーションまで未だに覚えている。東日本大震災は、単純にメディアで見ていても、怖さを感じるものだった。そして熊本の大学に入学し、無事卒業し、熊本で就職して仕事を始めた。社会人生活にも慣れたころ、同じような怖さを自分たちが体験することになるなんて、全く、想像すらしていなかった。人生で初めて「命の危険」を感じた瞬間だった。みんなが同じ思いをしただろう。そして、災害は起きた瞬間だけでなくそれ以降も恐怖や苦しみが続くということを思い知らされた。深夜に起きた出来事、電気はつかない水も出ないガスも使えない。なんだか諦めのようなものを感じた。電気はしばらく経つと多くのエリアで回復したが、水とガスは復旧に時間がかかった。トイレ、風呂、当たり前だった物事が、当たり前ではなくなり、冗談でも綺麗事でもなく「普通って幸せなんだ」とよく思った。未だに以前の生活に戻れない人達や、家すらなくなった人達が、当たり前に、沢山いる。今は自分はほとんど以前通りの生活に戻れているけれど、それも幸せなことだと思い直しながら。