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メロンソーダサイド (後編)

ね、そうだ。
「さくらんぼ、ひとくちは?」聞いた途端、
君は ぱっ と ストローを放りなげる。
ん?なあに、いまの。
つん と すずめみたいな め で 僕をにらんで「だめ」
「え、」
ーー君のきまぐれはいつものことだから 今のことにかぎって どうこう言いはしないけど やっぱりショックだよね うん、でも 君の隣にすわる きっかけ にはなったから それもそれで……ーー「はんぶんこ しよ」
「え、」

さくらんぼ は好きだけれど さすがに この大きさで この すっぱさ は たべるもんじゃないよね、なんて思いながらも、
君と両端から
歯と種があたるまで。
君の「だめ」と「はんぶんこ しよ」の間に、僕の頭ではそれこそ泡つぶのように いろいろな考えが あらわれては消え、を繰り返していたのだけれど、
君は そんなこと 知ることなしに。
僕の つまさき に残るアイスクリームを
「さくらんぼ すっぱすぎるから
あまいもの が ほしいね」
なんて 言いながらなめて。くすぐったいの なんの、どころじゃない。

全部たべきったら
全部たべきったら
さくらんぼ の種は
もう 氷もアイスクリームも跡形のない
メロンソーダの海に
タピオカのように沈めてしまおうね

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