西空の黒い雲
漂うガソリンの匂い
ベタつく肌に塩を塗り込む
視界の透明度の落ちる日に
座る運転席
駅で待つあなたの立ち姿
つまむチョコレート
手渡すホットコーヒー
クシャクシャな髪
優しく撫でる手
濡れた瞳と頬の先
水中の不純物が海水の透明度を高めている、と云ったのはアロナックス教授(海底二万里)だけど、雨の日は湿気で空気がよりとうめいになる気がします。
匂いも色も風も、雨の日はすこし鮮やかに思えるから。
ぼくひとりの雨と、あなたの雨と、半透明のレイヤーを重ねるように眺めていたい。