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記憶の在処

寝転んだままで泣いていた
右目からあふれた涙が
鼻のおうとつをなぞっておりて
左目に入ってまたあふれた

髪のすきまをするする縫って
くすぐったいなあってひとり、笑って
もう二度と会えやしないのに
夢でだけ会いにくるきみを思って

拭う手は世界で宙ぶらりん
誰と合わすことも もうないのなら
この世のすべてに逆らってでも
きみをつなぎとめておくべきだった

地球に降り立ったその日から
飛べなくなることを知っていたみたいに
そっと消えゆくたましいの行方
初めから誰もいなかった場所

どんな哲学もきみを救えないなら
ぼくの選んだ道はなんだったんだ
きみの涙のかわいた跡に
ぼくはやっと気づけたというのに

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