肌にはりついていた
あの頃の夏が恋しくなる
冷えた指先でひとり、
言葉を探して
目頭を熱くする夜は
もうわたしの掌の中にしかない世界で
なにかに反抗するように
夜空の色に塗った爪先を
乾くまで眺めている
さよならと初めましてしかないような
夜の始めと終わりを探すような
ただ、呼吸が続くだけの僕ら
ただ、心臓が動くだけの僕ら
いつだってないものねだり、生きるってきっとそう云うことかも。
落ち葉のなかスイカが食べたくて、蝉の声でマフラーが恋しい。月夜に叫びたくなって、日が昇ると眠たいぼくら。息をしていればまた日は昇るし、鼓動を数えれば明日は晴れるのだろうけど。
せかいなんて、ぼくの網膜にしかないんだって、手を伸ばして、「ウィトルウィウス人体像」の真ん丸だけが小宇宙なんだって、ぼくは知っている。
《シャアさん》
レス、ありがとう。
そうだね、確かに。寒い日に冷やし中華が食べたくなるような、
魔法でも使えたら、世界の概念は変わるのかもしれない。