係員から渡された綺麗な封筒。
僕はそれを掴んだままどうすれば良いのかが解らなかった。
「中...見ないの?」妻の一言で我に返る。
封筒の中に恐る恐る手を入れる。
そこにはこれまた眩しいほど綺麗な白い紙が折りたたまれ入っていた。
僕はゆっくり開ける。黒い文字が一文字二文字姿を現す。
僕は一文字一文字噛み締めるように見つめた。
そこには震えながらも尖った細い線で堂々と
「おめでとう。またウチに来な。」
とただ一文記されていた。差出人の名は無かったが僕はすぐに誰かは解っていた。
その優しい文字が滲むように涙が止まらない。
こんな晴れ舞台新郎が泣いていてどうする。そう自分に言い聞かせるも涙はまだ流れる。
あぁ...しくじったな。招待状。出しておけば...
僕は少しうつむいてた後涙を拭って顔を上げる。
そんな僕に妻は
「なに書いてあったの?」と優しく問う。
僕は無理矢理な笑みを浮かばせ
「なぁに。小さな小さなパーティの誘いだよ。」
「良かったね。」妻の優しい声が鼓膜を通る。
僕は後悔をしながらもどこか清々しかった。