きっと、運命でしかなかったんだろう この物語が始まったことが。 風が通り過ぎた。めくったYシャツと、少し伸びた前髪を揺らした風が思いの外柔らかくて、俺は小さく目を閉じた。 住宅街の奥に小さな山があるだけの、ありふれた景色を眺めるのが好きだ。高校に入ってから、気づくとこうやって窓の外に心を向けている。