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題名未定 小説 2


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ボフ。
いきなり頭の上に置かれた、真新しい教科書の感触が、俺を現実に引き戻した。
「おはよ、ヒロ。」
振り向くと、黒いセーターが立っていた。大きな黒目が特徴的な、少しパンダに似ているタレ目。クラスの女子顔負けのサラサラの黒髪には、軽く寝癖がついている。
「レディオヘッドのライブDVD見つけたんだ。帰りブックオフ寄ってかね?」
「いーぜー、ついでに高野楽器も寄ってい?ギタマガの最新号買いたい。」
「りょーかい。」
予鈴が鳴った。廊下が騒がしくなってきた。
「そーいやーさー、スティービン・タイラーが今度日本ツアーやるってな。」
「あー、知ってる。ファイナル武道館だろ?」
「そーそー。」
カオルとの会話の中心は音楽の話だ。好きなバンドは大体被っているし、飽きることはない。
本鈴が鳴った。遅刻ギリギリの同級生達が、担任に追い立てられながら教室に駆け込んでいる。
「行くか。」
「うん。」
3分の2くらい開いていた廊下の窓は、全部閉めずに、少しだけ開けたままにして、 カオルと一緒に、振り返ってすぐの教室に入った。

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