朱く染まる夕焼けの中で、 僕は或る落とし物を拾った。 それを辿って手繰って、 僕は君に辿り着いた。 僕は君を手繰り寄せた。 今夜は月も見えないし 君を抱いて眠ろうか。 掌にあの落とし物をしまって 朝方、柔い光に包まれて眠る まだ眠っている君を起こさぬように そっと摑んだ掌を開く。 なんだ、昨日辿ってきたのは 昨日手繰っていたのは なんてこと無いただの糸か。