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それでも涙をぬぐった手はやさしかった

宛名のない手紙の封を切るときの言いしれない背徳感に名前をつけて愛してあげる。わたしを取り巻くすべてがわたしのものではないことを、いつも思い知らせていてほしいからきょうも笑うのよ。ことば遊びが得意なふりしてことばえらびが下手なだけで、無関心は痛いけれどきらいじゃない。思考をやめられない弱いいきものだから、強がりはいつかほんとうになるって信じていたいの。生産性のない会話を切り捨てられるほど強くなくてごめんね。あなたをすきだと言いきれなかったわたしをいますぐにでも忘れてね。

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