何もなかった夜が 湿度を孕んだ窓の向こうで白んで往く 溶け残った月は 未だ手摺の間に転がっている あついのか寒いのかそれさえも ゆるりと量りかねて居る間に 幾度も鼻の詰まりに寝返りを打つ そんな夜を流れていたのだ