わたしに出会わないまま死んでゆくひとたちをしあわせになんてできやしない。ヒーローに憧れただけ。そんなふうに片付けたつもりでいるから、時々ひどく泣きたくなる。普遍的な愛情を浪費しながら金星を探す。あきらめ方は知らないうちに知っていた。手に入れたものと失くしたものとを天秤にかけて、わたしが生きているのは間違いなくいまだよってだれかに笑ってほしいのかもしれない。 嘘にやさしさはいらないと言いきったきみが世界でいちばんうつくしかった。