世界には色がある。
だから人は赤信号と青信号を見分けられるし、雨上がりが待ち遠しい。
だから、色のない僕は人ではないのかもしれない。
僕の世界はモノクロだ。
赤も青も緑も黄色も。僕は知らない。空の青も、林檎の赤も、向日葵の黄色も。
みんなの普通が僕の夢だ。
僕は生まれながらに劣性だ。なにもかもが欠けている。
そしてあなたもまたおかしい。
だって、透明の僕を見つけてくれたのだから。
こんなに穴だらけの僕を綺麗だと微笑んだのだから。
僕とあなたの境界線なんて、どこにもないと笑ってくれたのだから。