今日もそこは、暗く冷たく沈んでいる。
毎晩毎晩砂浜に打ち上げられる人、人、人。
彼らを処理するのが僕の仕事。
どれだけ手を洗っても消えない血のあと。
処理、言葉で言えば簡単だろう。
真っ暗な中、彼らは、眠っているのだ。
それは、それで、幸せそうなのだ。
人生を諦めて、幸せ、なんて、おかしいな。
僕は生きているのに、不思議と死んでいる気がしてくる。
時々彼らに問いかけてみても、答えは永遠にかえって来ない。
冷たく静かな1日。
荒々しい波の音。
僕はなんなんだろう。
この仕事には意味があるのだろうか。
考えても答えのない、問のなか、僕は今日も仕事を続ける。
僕が死んだら、また、誰かが、僕を処理するのだろうか。
今を生きる、僕の世界は、やはり灰色だった。