私は昔、酒屋で
配達のバイトをやっていた事がある。
その中で私が二週に一度位の割合で行く
個人経営のバーがあった。
私は高校生ながらに
そのバーの店主に恋をしていた。
歳は二十代後半位だった。
ある時、私が配達に行くと、彼女は
手作りの おにぎりを私にあげようとした。
最初は私は拒否をしていたが、最後は
遂に貰ってしまった。彼女は私が店を出るときに
[頑張って]と言った。まもなく、私はバイトを辞めてしまったが。
今思うと、あの おにぎりの中には、
米とごま塩と、海苔の味の他に何かそれよりも
大きいものがあったと思ってしまう。
そして、今、私は彼女に言うのである。
[頑張れ]と。