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無題

昏い昏い宵闇に
すっくと伸びる緑 華開いた紅
摘み取って口に含めば
私は貴方に逢いに行ける?

真っ新の振袖は正絹
慎重に梳った髪へ狐の松明を灯して
お化粧は ほんの少しだけ
貴方の前では少女でいたいの

月が登らない夜の
泉の面は揺らぎない
水底から泡と共に立ち昇る
純白の袖が揺蕩って綺麗

貴方は お泣きになるかしら
それとも お怒りになるかしら
精一杯に駆けて行くから
できたら大好きな あの笑みで
抱き留めていただきたいの

我儘は承知 悲しませると知っている
けれど 私は貴方の隣でないと
息の継ぎ方を忘れてしまうから
しようのないと微笑んで
堪えた日々を褒めて欲しいの

そうしてまた 隣へ置いていただきたいの

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