あなたは夢見る乙女。いつか白馬の王子様が現れると信じている。いっこうに現れないのは言うまでもない。ある日あなたはヨーロッパに行こうと思い立ち、ヨーロッパ旅行に出かける。なぜなら王子様といえばヨーロッパだから。レンタカーを借り、田舎道をドライブしていると、道の真ん中に白馬が現れる。あなたはあわててブレーキを踏み、車から降りて追い払おうとするが、逆に近づいてくる。白馬の毛は、つややかで、甘い香りがする。あなたはたちまち白馬のとりこになる。あなたの耳元で、白馬がささやく。
「わたしは白馬の王子です。あなたを迎えにきました」
いつの間にか、あなたは馬になっている。あなたと白馬は、軽くじゃれ合ってから駆け出し、森の中に消える。