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「さようなら」

「頑張ってれば、帰ってくるよ」
幼かった僕は
その言葉をただ信じ続けた
バカだよね
頑張ったって
戻ってくるわけないのに
心のどっかで解っていたはずなのに
「ふたりは『りこん』したんだ」って
信じたくなかった
事実から目をそらして
僕なりに頑張ったよ?
勉強だって
ソフトテニスだって
あなたの期待に応えられるように
甘えたくなったって
ひとりでさみしくたって
がまんしたよ?
がんばって
がんばって
がんばって
がんばって
いつかきっと
報われる日を信じて
「頑張ったね」って
言ってくれる日を信じて

でも

そんな日は来なくて。

勉強をがんばっても
兄には敵わなくて
あなたは「もっと頑張れ」っていう
ソフトテニスだって
「もっとこうしなさい」
「そんなだとペアがかわいそうだ」
さみしくて
つらくて
泣いていると
あなたは突き放した
でも僕は泣き虫で
何回も泣いて
そしたらあなたは言った

「女優泣き」

ああ この人は
僕を見てくれないんだ
愛してくれないんだ
幼いあの頃に
僕らを置いていってしまった
あの人とおんなじだ
僕はどうして生まれてきたの?
こんな辛いのなら
誰も愛さなければよかった
でも
もう遅くて。

ねぇ、

僕を愛して。

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