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音のナイフ 1

ある小さな王国にほんの少しお金持ちな家に生まれた女の子がおりました。
同じようにほんの少しお金持ちな友達とふざけあったり、
時には王国の王子様のご機嫌とりをしたり。
平凡な毎日の中、心からの親友も一人二人できました。
女の子は漠然とした幸せを抱えていました。

そんな頃、王国にぶかぶかのセーターとぼろぼろの靴を履いた男の子がやってきました。
男の子は旅の音楽家でした。
道端で音楽を奏でては、道行く人からのほんの少しの投げ銭で、生活を養っていました。

女の子は友達の家からの帰り道、聞いたこともない曲を聴きました。
異国の香り漂う、不思議なメロディーです。
ふと道の反対側を見ると、ぶかぶかの服を着た男の子が道端の岩に座り、見たこともない楽器を演奏していました。
女の子は最初は警戒したものの、その音楽が気になって、男の子のもとへ歩いて行きました。

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