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音のナイフ 4

オト

女の子は口の中でその名前を転がしました。
でも、それは本当の名前じゃないじゃない、
と言いかけましたが、思い直しました。
なんだか聞いてはいけないことのような気がしたし、オト、という名前が気に入ったのです。

男の子は何も言いませんでした。
人の名前に興味はありません。自分のにもないのだから。
女の子も、名前を尋ねてもらえなくても構わないようでした。

その楽器は、なんなの?見たことないな。

もちろん。だって、僕が作ったものですよ。

本当に?

はい。世界でこれ一つですよ。

女の子はまじまじと男の子を見つめました。
楽器を作るだなんて思いつきもしなかったし、その楽器だけではなく、この男の子が世界でたった一つのように感じました。
もちろん全ての人は世界でたった一つですが、彼は本当にたった一つのように感じたのです。

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