2

歌 詩 唄 咏

「僕は自分の歌い方が嫌い」
どれだけ歌っても少しも揺れない声が
自分で聞いていると
なぜか感情がないみたいで
心苦しくなる

「そうかな」
私はあなたのよく通る声が
震えることなく真っ直ぐに届く声が
私の背中を押してくれるみたいで
大好きなんだけどな

「私は自分の声が嫌いかな」
女の子なのに低い声が
どんなに綺麗に歌ったつもりでも
あなたに届く前に
広がって霞んでしまいそうで

「そうかい」
君の声は確かに優しい
でも何処か強くもあるんだ
いつも僕を守ってくれる
僕はそんな君の声が
大好きだったりするんだけど

「僕達どうも似てないね」
「だから好きあえているのかもね」
なんだか寂しい気もするけど

それなら 約束しましょうか
小さなおまじないを

いつか 僕が好きな君が好きだという歌い方を
好きになれるように
いつか 私の好きなあなたが好きだという声を
好きになれるように

いつか 自分を好きになれるように


この結んで切った小指に免じて
飲む針はどうか1本ずつでありますように
あわよくば相手の飲む針を全て
自分が溶かせますように

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。