具現化された悪意に触れる度僕は思うんだ
人間は自分が思う程高尚じゃないと
終末論は嫌いだよ でもこんな世界も愛せないよ
無垢な優しさが
足枷となるような場面を幾つも見た
僕は歌を歌ってた 誰かに届ける為じゃなく
いずれ何者かになってしまう
自分への供養としての歌
それは確かに深淵に突き落とされたあの日の僕を
もう一度手にしてみる動機として
美しく機能していた
それを笑うような奴にはいつかその報いが訪れる
そんなありきたりな道徳は
もう僕には必要ないんだ
喪失が流させた涙も 未だ風化しないトラウマも
全部糧にしてみせるから 全部歌にしてみせるから
世界が変わるのを待ってる 窓から外を眺めている
少年だった僕に告ぐ 武器を取り戦うべきは今
肯定される事は無いが美しいと形容される
人間の足掻くその様は数少ない愛せるものだ
洗い流す機会も無く誰もが多少の罪を背負う
それを糾弾する資格を
誰も持ってないのは自明だが
身の程知らずは何処からか
掃いて捨てる程に湧いて
心無い言葉はまるで頭上を飛ぶ弾道ミサイル
アルコールで安い眠りに誘われた弱い精神は
希望を未だ持っている 手放す事なく持っている
誓いを立てたあの場所は
コンビニへと様変わりして
虚しい気持ちになったからギターを握って抗った
投げつけられた物も多く 手では拭えない物も多く
大衆に異分子と見做されるような事も沢山あった
それでもまだ立ち上がるのは
それでもまだ戦えるのは
この苦しみと生きる意味が
無関係じゃないと思うから
その確信は楔である 僕を貫く楔である
少年だった僕に告ぐ 足元にひっそりあった影
色も形も多種多様な苦悩が集まる海辺にて
眺める落日は懐かしく数少ない愛せるものだ
流動的な価値観を意識せざるを得なくなって
それを後戻りの言い訳にしそうな自分を叱咤して
理解されないような機微や報われない擦れ違いは
ここで荼毘に付すとするよ この歌を墓標にするよ
どうにもならない日々の事 殴るに殴れない敵の事
研ぎ澄まされた眼光は痛みに隠れる一縷の望み
できない事はやらないけど使える物は全部使う
そうして辿り着いた自分は数少ない愛せるものだ
殴るに殴れない敵
ここが一番好きです。多いです、殴るに殴れない敵。
言うことを聞いてくれないバンドメンバー
言うことを聞いてくれないお隣の国
言うことを聞いてくれない自分のお口
でも、それを最大限に使ってどうにかこうにか自分を愛してやったらいいんですよね。何かの答えをもらった気がします。
ありがとうございます。
お隣の国なんてスケールのデカい事は意識してませんでしたが笑
日常のレベルでそういう敵は多いかもしれません。というか、殴れる敵の方が少ないような。
何をもって敵とするかにもよりますけれど。
簡単には解決しない事こそ歌われるべきだと思います。