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深紅の幸福論

君の隣でバスに揺られて
車体が揺れて弾みで君の
糸が切れてがくんと傾ぐ
僕の肩に凭れること無く
はらはらと見守っている

その思いの外長い睫毛が
影を落とした頬の上には
陽射しがくるりと舞って
折角二人で出掛けたんだ
もう少し話をしたいのに

弾んだ足取りの代償には
君の死体がよく似合うさ
君を刺して深い紅の中に
今すぐ沈めてしまいたい
この時間を忘れたくない

君の時間を貰って遊ぶと
君の時間を奪いたくなる
君の中に僕の存在証明を
刻んで抉って掻き乱して
その原型を留めないほど

今を終わらせないように
たったそれだけの理由で
君の命を奪ってしまえば
僕はもう戻れなくなって
君の沈む深い紅の内側へ

僕も僕を沈めてしまおう
深い紅に満たされたいよ
君と過ごせたこの幸せが
僕の希死念慮と共に燃え
君をもう殺したくなった

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