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無題

新たな花を手にした貴方へ
思いの外するりと微笑めたこと
僕がほっと胸を撫で下ろしたのに
貴方はお気付きだったかしら
いいや、お気付きではなかったから
あんなに無邪気にお礼を仰ったのだ
そんなことは分かっているんです
その手の純白よりずっと
僕はずっと、貴方のことを知っている
けれど知り尽くしているからと言って
貴方の愛を注いでもらえるわけじゃない
そもそも僕は知り尽くせていなかった
満開のテーブルで照れ臭そうな
その笑顔は僕では引き出せなかった

新たな花を手にした貴方が
隠したかったことを見出さなかったこと
僕が胸に懐いた苛立ちを
どうかそのままお気付きにならないで

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