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終末を巡る_7

アトリエから出ようと振り向くと、扉側の壁に絵画が一枚かかっていることに気づいた。
『…ん…?』
それは濁った空、枯れた草花に覆われた原っぱ、そして人が描かれている。人の頭が不自然に黒く大きく描かれているように見える。
『こわいな』
『ああ…さっさと出るか』
琥珀は林檎の首根っこを咥えてアトリエを出た。画廊を戻っていくと、先ほど追いかけてきた人間と思しき人間が先に見えた。
『げっ』
そっと様子を伺うと、暗くてよく見えないが、背中がもよもよと不自然に動いているようだ。
『きみわるい』
琥珀は林檎の首根っこをそっと離しておろしてやり、座って様子を伺った。
…人間の背中から何かが生えた。
『きゅう』
林檎の悲鳴を聞いて琥珀は林檎を背中がわに庇ってやる。
人間はぐるりと振り向く。琥珀は反射的に林檎の首根っこを咥えると人間の様子を見つつ後ずさる。

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終末を巡る_6

「あれ、こっちに行ったと思ったんだけど…」
人はアトリエを見回した後出て行ったようだった。
『あとりえ?』
『なんだろうな』
とりあえず絵の具の入った箱から出て部屋を見回す。青空と草原の描かれたキャンバスが一、二枚。濁った空のものも二枚ほど。乱雑に散らばっていた。林檎は鼻をひくつかせてキャンバスをつっついている。
『あのひと、こんなとこにすんでるのかな』
『流石にないんじゃないか?ここじゃ何も手に入らないぞ、価値あるものもなさそうだし』
『なにも、てにはいらないのにいきてられるの?』
『さあ…人間のことはよくわからん』
改めてアトリエ内を見回してみると、かなり蜘蛛の巣が張られていた。
『…あの人間、ここを大事にしてるのかしてないのか分からんな』
食べようとしているのか、林檎が絵の具のチューブを噛みだしたので、鼻で突いてやめさせる。
『もどる?』
『そうだな…ここにずっといるのも居心地が悪いし出ようか』