「ちょっとした、興味って奴?」
そう言って師郎はにやりと笑ってみせた。
その様子を師郎の左隣から不思議そうに黎が覗き込み、前を歩くネクロマンサーとコマイヌは立ち止まってこちらを見ている。
わたしは思わずポカンとしてしまうが、師郎は上着のポケットから濃いピンク色のキーホルダーを取り出した。
「ま、あの少年はコレ置いてってるし」
届けてやらにゃいかんだろ、と師郎はそれを眺めつつこぼした。
わたしは何も言えずその様子を見ていたが、やがて師郎が行くぞと言って歩き出す。
ネクロマンサー、コマイヌ、黎も前を向いて歩き出し、わたしもそれに続く。
暫く歩いて、わたし達は人気のない階段へと向かった。
そしてわたし達は階段を下っていった。
階段はほんのり薄暗く、人は誰もいなかったのでわたし達の足音だけが響いていた。
…と、わたし達の前を歩いているネクロマンサーとコマイヌが1階と2階の間の踊り場で立ち止まる。
わたし達の目の前の踊り場には、先程師郎とぶつかった少年が壁に背中を預けた状態でうずくまっていた。
「…」
少年はわたし達の気配に気付いたのか顔を上げるが、わたし達の姿を見とめた途端にひっと震え上がった。