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廃都鉄道 right 3

相変わらず彼女に突っかかるチンピラ。

「あ⁈警告だぁ?調子のってんじゃね

チンピラが声を荒げた瞬間。
彼女の足がチンピラの頬にめり込んだ。
当たりどころが悪かったのか、そのまま床に崩れ落ちる。
彼女は倒れたチンピラには目もくれずに、声を張り上げた。

「皆様、大変お騒がせしました。皆様に多大な御迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。なお、ダイヤに乱れは御座いませんので、そのままご乗車ください。」

そう言いながらチンピラの首根っこを掴むと、窓から思い切り放り投げた。
…放り投げた⁉︎

「え、ちょっと、あの、それ、」
「?どうされましたか?」

放り投げられた彼は無事なのだろうか。
いや、そもそも放り投げるのは駄目だろう。
あまりにも平然と行われたその行為に、どこから突っ込めば良いのかわからない。
あー、とか、えー、とか言いながら言葉を探す僕を見て、彼女は、あ、と言い放った。

「顔、切れてますね。申し訳御座いません。治療を致しますので、このまま終点までご乗車ください。
お代は頂きません。」