結局いくら聞いてもブケファルスは自分のレヴェリテルムがどこに行ったのか教えてもらえず、やかましく騒いでいるうちに病院に叩きこまれた。
「…いつの間に…」
ブケファルスは天井を見ながらぼやく。むかしから頭に血がのぼると注意力が散漫になるタイプだったので、ブケファルスはついさっきまで自分が病院のベッドの上にいることに気づいてすらいなかった。
「見舞いもいないし…」
カメルス、カウダ、フス、ユニシンクトゥスはドムスの人間に呼ばれてしまい、ここにはいない。
「Uccello balla lingua centoも手元にないし…」
病室の机には付箋に手書きで、ブケファルスのレヴェリテルムは修理に出しているという旨があった。修理の字を見た瞬間に壊れたのか!?と叫び出しそうになったが、よく読むと破損箇所は刃こぼれの記載のみだったのでギリギリ落ち着いた。
「まあでも」
ブケファルスは病室の窓に目をやった。青い空、白い雲。牧歌的な光景である。
「平和ならいいか」
ブケファルスは平和を守ったことを噛み締めながら大きくあくびした。