二人の囚人がいた。一人は泥を見た。一人は星を見た。
星を見た囚人は、いつかあの星を掴みに行こうと言った。その言葉は、二人の希望になった。
泥を見た囚人は、我々のいる場所はこんなにも汚く醜いと言った。その言葉で、二人は現実を見つめ続けることができた。
ある日、牢の錠が外れていた。
星を見た囚人は、今こそあの星を掴みに行こうと言った。その言葉で、二人は自由へ踏み出すことができた。
泥を見た囚人は、我々の行く道はこんなにも泥濘んでいると言った。その言葉で、二人は転ぶこと無く歩き続けられた。
二人は並んで荒野を歩き続けた。
星を見た囚人は、あの山に登れば星に手が届くやもと言った。その言葉で、二人は疲れた足を動かし続けることができた。
泥を見た囚人は、我々の行く道はこんなにも湿っていると言った。二人は泥水を漉して、少しだけ喉の渇きを癒やすことができた。
二人は泥濘の中に粘土を見つけた。
星を見た囚人は、素朴な素焼き人形を作り上げた。温かなその作品は、旅人の胸を打ち小金と交換された。
泥を見た囚人は、無骨な壺を焼き上げた。頑丈なその作品には、旅の荷物を収めることができた。
二人の行く道は、次第に固く乾いた土を纏いだした。
星を見た囚人は、空を暗雲が埋め尽くすのに気付いた。その発見は、二人の喉を潤す清潔な雨水の到来を示した。
泥を見た囚人は、しぶとく根を張る雑草の虫食いに気付いた。その発見は、昆虫と野草という僅かで明確な食料の存在を示した。