すぐに起き上がって周りを見渡すと、ナアマが自分の左の方……ディソーダーの脚のすぐ下にあるのを見た。時折アッドの攻撃を受けてよろけたディソーダーの脚が掠めて位置が移動した。
「おい大丈夫かっ」
「へ、へーきよ! 構わないで早く動き止めてよ!」
ファナは強がって叫んだ。アッドが舌打ちで返したのは気付いていないことにした。
ファナはナアマに駆け寄る。視界がふさがれたディソーダーは明後日の方向に熱線を放ち、脚はでたらめなステップを踏む。アッドは片方しかない腕でトバルカインを握り、敵の脚を1本ずつ、確実に突き刺し、切り落としていく。切り口からはディソーダーの体液が噴き出て、周囲は既にどす黒い水たまりができている。時折粘性の高い液体に足を取られてよろける。しかも全身にディソーダーの毒性のある体液を浴び、身体は重く体力もかなり削られている。
――正直、今の満身創痍の状態のアッドにとどめを刺すのを任せることはできない。自分がナアマを取りに行って、トバルカインを受け取り、とどめを刺さなければ。
ファナは考えた。
ファナは意を決し、ナアマを手にした。
「キモいの! こっちよ!」
ファナはディソーダーの後頭部……アッドがいるのと反対側に回って、ナアマで切りつけた。アッドから注意をそらすためなのであまりダメージにはなっていない。
しかしディソーダーはアッドから攻撃の対象をファナに変えた。ファナは強張った表情で空笑いをする。
「アディくん!」
ファナは名前を呼んで、アッドに目配せした。彼もそれで目的が分かった。相方の無茶に目を丸くしたのもつかの間、すぐにディソーダーの近くから離れて、その視界の外から都合のいい地点に移動する。
ディソーダーの砲塔部の内部が赤く発光する。可聴域ギリギリの音波が脳を貫く。それを無理やり無視するためにファナは目をかっと見開いて、大きく跳びあがりナアマを振り被った。焼けただれたような熱い空気を薙ぎ払い、ナアマが砲塔部の付け根に直撃した。