「僕は、きみを、止めに来た」
「そんな、どうして」
ヴァンピレスはつい後ずさる。
「わらわは、別に、悪い事なんて、そんな」
「君は、たくさんの人に迷惑をかけた」
ヴァンピレスの言葉を遮るように、逢賀さんは続ける。
その瞳は鮮やかな鮮紅色に輝いていた。
「たくさんの人の”大切なもの”を奪い、”大切な絆”を、壊した」
その”報い”は、必ず受けなければならない…と逢賀さんことヴァンパイアはヴァンピレスに近付く。
ヴァンピレスはおびえたように後退するが、その途中でつまずき尻もちをついた。
「これ以上、きみに誰かの”大切”を壊させないために、きみ自身の手を、これ以上汚させないために」
僕はきみを、止める‼とヴァンパイアは右手に銀色の長剣を生成し、ヴァンピレスに向かって走り出す。
ヴァンピレスは後ずさろうとするが、身体が思うように動かないのか地面の上で身じろぎするだけだった。
このままでは、ヴァンピレスの異能力は、奪われる。
…つまり、記憶が奪われるという事。
ただでさえ寂しい思いをし続けてきた彼女が、記憶を失ったらどうなるだろう。
ただでさえ、1人で物憂げな表情をしていたというのに…