オリエンテーションから数日後の日曜日午前7時50分。養成校高等部校舎前に、3人は集合していた。
「おはようございます、秋津先輩、菅原先輩」
「よっす後輩くん~」
「おはよう永江くん。10分前行動とはしっかりしているねぇ」
「はい……で、ここで合ってますよね?」
「そだね~、8時出発って話だけど……車移動?」
「らしいね。“妖記廊”の人が車出してくれるってさ……と、噂をすれば」
エンジン音に3人が顔を上げると、1台の紺色のハイエース・ワゴンが最徐行で近づいてくるのが見えた。
「あのナンバー……うん、あれだね」
「おー、でっかい車だ~」
潮が先んじてワゴンに向けて駆け出し、後の二人も続く。停車したワゴンの運転席側の窓が開き、30代ほどの男性が顔を出した。
「お、全員揃ってるな。5分前集合とは感心感心。それじゃ、みんな後ろに乗りな」
3人が乗車してシートベルトを締めると、ワゴンはゆっくりと発進して校門を抜けた。
「さて、依頼内容については理解できてるかな?」
運転手の男が尋ねてくる。
「はーい、“八尺様”を倒す!」
「または封印する」
潮と王蕗の答えに、男は頷いた。
「そう。封印用装備については一番後ろのシートにオリコン(折り畳みコンテナ)があるだろ? そこに入ってるから。それから、全員分の“霊凛”と“霊火”もあるぞ。みんな講習は受けてるか?」
「もちろん!」「はい」
潮はサムズアップを示し、王蕗も首肯する。
「自分も行く前に受けとけって言われて受けました」
吉継も答えると、男は目を細めて頷いた。
「真面目な学生たちで何よりだ。目的地までは3時間くらいかかるから、好きに過ごしていてくれ」
車が赤信号で停止したタイミングで、王蕗は席から手を伸ばし、後部座席に載っていたオリコンを引き寄せた。
「おっ、流石王蕗先輩腕長~い」
「こういうところは背が高い強みだよねぇ」
王蕗はオリコンを膝に乗せると、封印装備を確認し始めた。潮はスマートフォンをいじりながら時間を潰し、吉継は再発進したワゴンの車窓から、流れる景色を眺めていた。